第903話 クロノグラフ
ブラックとシルバーの洗練されたデザインのクロノグラフの時計。それは親父が付けていた時計だ。親父は死ぬ間際、俺にクロノグラフを譲ってくれた。
「これは特殊な時計だ。使い方をよく考えろ」
「ん?これ高いのか?」
「いや、時計として売っても価値はないだろう。だがこの時計には、それ以上の価値がある」
そう言って親父は亡くなった。結局意味は分からないままだった。俺は親父の形見として受け取ったクロノグラフを肌身離さず付ける事にした。そしてふとしたことがきっかけでこのクロノグラフの凄さに気づいた。ストップウォッチを起動すると、周囲の時が止まるのだった。しかし俺だけが止まった時間の中で動く事ができる。これで銀行から金を盗み放題じゃないか。俺はそんな悪い事が頭をよぎった。しかしふとクロノグラフを見ると、親父の顔が思い浮かんだ。
「ああ……わかってる。この力はいざという時のお守りとして使わせてもらうよ」
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