第863話 バレット
「お前達の秘密を知っている。お前達の子供は、誘拐してきた他所の子だ」
ポストに入っていた告発文を見て佐和子の心臓の鼓動は、早くなった。周囲から見ると幸せそうに見える家庭だが、実は夫婦には秘密があった。今いる娘は、娘が赤ちゃんの頃、公園のベンチで一人寝ているところを誘拐してきたのだ。不妊症で子供ができず困っていた夫婦は、子供欲しさについ魔が指して犯行に及んでしまった。だが子供は、我が子のように大切に育てた。娘も今年で十六歳になる。今更こんなことになるなんて……。
仕事から帰ってきた夫に相談した佐和子だったが、夫は興味なさそうに言う。
「大丈夫だ。ただのイタズラだ。絶対にバレはしない。あの時は目撃者もいなかったし、俺達の計画にミスはないはずだ。それに今更バレてどうなる」
それからは本当に何事もなく、ただ不気味に日々が過ぎていった。娘の口から”バレット”という単語を聞くまでは。
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