第839話 恋するガラケー
使わなくなったガラケーの電話帳には、当時好きだった女の子の電話番号が入っていた。僕はなんとなく使わなくなったガラケーを使い、電話をかけてみた。かかるはずなどないのに。ところが契約なんてとっくの昔に解約したはずなのに電話が繋がってしまった。
「はい」
「も、もしもし。井口です」
「あ、井口君。久しぶりだね。どうしたの?」
「うん。電話帳見てたらさ、電話番号を見つけて。どうしてるかなって思ってかけてみたんだ」
「そうなんだ。私は元気だよ」
それから彼女と久しぶりに話した。やっぱり僕は彼女の事が好きだ。
「あのさ、今付き合ってる人はいるの?」
「うん、いるよ」
「そっか。実はさ、僕……昔、君の事が好きだったんだ」
彼女は少し間を置いて答えた。
「惜しいな。私も井口君の事が好きだったのに。なんだ、両想いだったんだ。あーあ、告白しておけば良かったな」
僕は胸がキュンッと痛んだ。
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