第814話 三日月焼き
町の小さなお好み焼き店。そこは、一人の人情味溢れるおばちゃんが営むお好み焼き店だ。中でも人気メニューが三日月焼き。三日月の形に焼いたお好み焼きだ。
「おばちゃん。三日月焼き」
「はいよ」
手際よくおばちゃんがお好み焼きを焼いていく。その日、大事な取引先との商談が午後から控えていた。男は緊張した面持ちでお好み焼きが焼けるのを待っていた。
「緊張した顔だけど何かあるの?」
おばちゃんが慣れた手つきで焼きながら聞く。
「実は大事な商談があってね。神経質で気難しい相手なんだ。怒らせるような事でもあれば二度と取引してくれないかもしれない」
「神経質な人っていうのはね。裏を返せば気配り上手って事なのよ。丁寧な仕事が好きなタイプなんだって思えばいいのよ。そう考えると少しは楽にならない?」
「確かにね。おばちゃんの言うとおりだ」
男の緊張した顔は和らぎ、三日月焼きを美味しそうに食べ始めた。
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