第811話 アトリエ見学

「いやー、まさか先生のアトリエを見せて頂けるなんて。貴重な機会を頂き、ありがとうございます」

「いや、いいよ。じっくり見ていってくれ」


有名画家、西宮先生のアトリエを見学する事になり、私はワクワクしながら辺りを見渡した。


「これは……?」

「ああ。それはチョコレートの袋だね。すまないね。散らかっているように見えるだろうけど、チョコレートの袋を大量に重ねる事によって、何か新しいアートが生まれないかと思ってやってみたんだ」

「なるほど。私では思いつかない斬新な発想です」


そう説明されないと、ただのゴミ屋敷に見えていたとは、口が裂けても言えない。なんたってあの有名な西宮先生なんだから。


「これは……?」

「それは絵具を周囲に飛ばす事で何か新しいアートがうまれないかと思ってね」

「なるほど」


そう説明されないと、ただの絵具で汚れた汚い部屋だと思っていた。でもそんな事口が裂けても言えない。

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