第793話 空気を読む体重計

祈るような気持ちで体重計に乗った。太ってしまった気がする。


「お願い……。あっ……ああっ……」


運命は残酷だ。体重計は私の願いを聞き届けてくれる事はなかった。それどころかそこには、残酷な数値が表示されていた。


「この馬鹿っ!!どうして!!どうしてそんな数字見せるのよ!!」


私は体重計に八つ当たりした。


「空気読みなさいよ!!乙女に失礼でしょ!!」


すると体重計の数値がどんどん減っていく。


「あれ?減ってる。凄い!!どんどん減っていくわ!!そう!!もっと!!もっとよ!!」


数値は更に減っていく。


「いいわよー。そのままそのまま。ちょ、ちょっとなんで止まるのよ!!空気読みなさいよ!!あと3キロよ!!」


すると数値は、更に3キロ減った。


「あんたやればできるじゃない。良い子ね」


「空気を読みました。でも実際の数値とは違うのでご了承下さい」


体重計がはっきりそう喋った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る