第753話 卒業記念

今日で高校を卒業する。今覚えば色々な事があった三年間だった。サッカー部に入り、毎日ボールを追いかけた。大会では優勝は出来なかったものの、結構いいところまでいけたし、悔いもない。


「先輩」

「なんだ、村井か。どうしたんだ?」

「卒業おめでとうございます」

「ありがとう」

「先輩にお願いがあるんですけど」

「なんだ?」

「先輩の第二ボタン下さい」

「すまん。すでに他の子が欲しいって言うからあげてしまったんだ」

「ええー、マジですか」


そう話すのは、サッカー部の後輩マネージャーの村井だった。


「先輩モテるんだなあ」

「そうでもない」

「ねえ先輩」

「なんだ?」

「先輩に卒業記念あげる」

「おっ、嬉しいな。何をくれるんだ?」

「ちょっと屈んでください。私、先輩より背が低いから」

「こうか?」


チュッ。


「む、村井!?」

「えへへ。それじゃね、先輩。卒業おめでとう」


村井は走っていった。

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