第679話 あほらしいア・イ・シ・テ・ル

彼はお調子者で馬鹿だ。だが私は、そんな彼と一緒にいるといつも笑わせてもらい、笑顔になって元気をもらえる。だからそんな彼が好きなのだ。今日も彼は、私を笑わせにくる。


「モノマネ練習してきたんだ」

「うん」

「ドラマのさ、愛してるの信号に出てくる赤井一郎」

「見たいかも」

「僕はさ……君の事……愛してりゅんだぁあああ」

「似てるー。愛してりゅんだってちょっと噛むところそっくり」


そんな彼とイルミネーションを見に行った日だった。


「イルミネーション、綺麗だね」

「うん。美味しそうだよな」

「いや、食うんかい!!」

「ナイスツッコミ」


いつもどおり、楽しいデートを過ごしていた時だった。彼は急に私の方を見た。

「なあ」

いつもと違う真面目な顔にドキッとした。

「な、何……?」

キスされるのかな?

ドキドキした。

「俺はさ……」

「うん」

「君の事……愛してりゅんだぁあああ」

また笑わされた。

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