第668話 世界から色が消えた

万華鏡を見ると不思議な気持ちになる。まるで世界が変わってしまったかのような錯覚に陥る。私は万華鏡を見た。その日、世界は大きく変わった。

色鮮やかで綺麗だったはずの世界は白黒になり、虚無感のある世界へと変貌してしまった。世界から色が消えた。だが不思議と私以外の全ての人は、今まで色がなかったのが当たり前のように普通に生活しているのだ。


「世界に色を返してください」


私は叫んだ。誰に言えばいいのか分からなかったが、とにかく叫ばざるを得なかった。それほどまでに白黒の世界は不気味で嫌な感じがした。世界が白黒になってから数日。私の元に老婆がやってきた。

「色を取り戻したいのかね?」

「おばあさん!?世界に色を取り戻せる方法を知ってるの!?」

「万華鏡を探しなさい。もう一度万華鏡を見れば世界は戻る」


私は家の中で万華鏡を探したが見つからなかった。ならば世界中を旅して見つけるんだ。私の旅が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る