第659話 不死鳥が死んだ

見事な絵だ。そこには立派な不死鳥の絵が描かれている。


「良い絵ですね。これは凄い」


私は屋敷に招かれた客。今日はパーティー。ディナーをご馳走になる。屋敷の主とは主治医と患者の関係だ。私は女医なのだ。


「先生。本日はお忙しい中お越し下さりありがとうございます。この絵は不死鳥の絵でしてね。不死鳥の血を飲むと不老不死になれると言いますしね。縁起が良いでしょう。健康祈願ですな。ははは」

「ええ。まあこんな鳥が本当にいたとしたら医者の私は、仕事がなくなってしまうので困りますわ」

「わはは。名医である先生がご冗談を」


その時だった。

「た、大変です。厨房で火災が」

「何だって!?皆様。急いで外に!!先生も早く!!」


私達は急いで外に避難した。火の手はあっという間に広がり、屋敷が燃えた。そしてその炎の中から火の鳥が飛び出して空を駆けていった。不死鳥の絵は死んだ。そして炎の中から蘇ったのだ。

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