第652話 テレフォンキャンディー

この度、世界最軽量。コンパクトな携帯電話が発明された。それがテレフォンキャンディーだ。電話ができる飴だ。口の中に放り込んで舐めている間、相手と通話ができる画期的な電話だ。テレフォンキャンディーは、電話さえできればいいというスマホが苦手な高齢者の間で爆発的な人気となった。

「おばあちゃん。機種変してきたよ。テレフォンキャンディーに」

「おお。ありがとうね」

私はおばあちゃんの携帯をテレフォンキャンディーに機種変した。

「ちょっと電話してみようか?」

おばあちゃんはキャンディーの包み紙を開けた。そしてキャンディーを口の中に放り込んだ。

プルルルル。

私のスマホが鳴る。

「うおっ!!かかった。凄いね。どんな仕組みなんだろう」

「もしもし。おばあちゃん?」

「もひもひ。たんとひこえとるかね?」

「ごめん。何言ってるの?もぞもぞ言ってて聞こえないや」


テレフォンキャンディーは、販売中止になった。

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