第638話 呪い千羽鶴
――お母さん。早く死んでください。
私はそう願いを込めて入院する母の為、千羽鶴を折った。
もう何度目の入院だろう。お母さんは体が弱く、何度も何度も倒れて入退院を繰り返している。いつもいつも母は、苦しそうだ。生き地獄というやつだろう。
私はもう、そんな母の辛そうな姿を見たくない。
だから私は千羽鶴を折った。早く死んでくださいと呪いを込めて。
楽になって欲しいから。
でも本当は――
本当の気持ちは――
「うっ……ううっ……お母さん……。嫌だよぉ……。死なないで……。うっ……ううっ……うわぁああん」
私は泣きながら千羽鶴を折った。早く死んでと呪いを込めて。そして同時に助かって欲しいという矛盾する気持ちも込めて。
千羽鶴が完成し、母の病室に持って行った。
「わあ!!綺麗!!ありがとう」
母は私の作った千羽鶴を見て笑顔になった。嗚呼、作ってよかった。
母の病気が治りますように。
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