第624話 飛び込み自殺
死のう……。俺は電車に身を投げた。飛び込み自殺を図ったのだ。
その瞬間、時間が止まった。
「えっ?」
「お前は死んだ。だが死の瞬間というのは、人生のたった一つの出来事だけやり直す事ができる。お前は何を望む?」
「まさか神様?」
「フッ。まあそんなものだ。お前が望むものは何だ?」
「遊びに行く妹を止めたい」
「事故死した妹の死を回避したいのか?」
「ああ」
こうして妹の死は回避された。俺にもう思い残す事は、何もない。最後に妹を助けられたのだからそれでいい。
「では時を戻すぞ」
戻った瞬間だった。誰かが俺の手を掴んだ。
「お兄ちゃん!!」
それは妹の手だった。俺は助かった。
「お前どうしてここに!?」
「人生、最後に一つだけやり直せるって聞いてお兄ちゃんの自殺を止めたかったの」
「お前、何歳まで生きた?」
「91」
「そうか。大往生だな」
「お兄ちゃんも生きるんだよ。私がいる」
俺は泣いた。
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