第581話 相合傘

今日は夕方から雨が降る予報だ。天気予報でそんな事を言っていたから、僕は傘を持って家を出る。最近の学校は楽しい。なぜなら好きな女の子の隣の席になったからだ。まあだからと言って話をする事もない。僕の密かな片思いだ。学校が終わった時間帯、やはり天気予報通り雨が降ってきた。僕は日直の仕事を終えて帰ろうとすると、彼女が立っていた。


「帰らないの?」


僕は声をかけた。


「うん。雨が凄いから……。傘忘れちゃって」

「良かったら一緒に帰る?相合傘になって嫌かもしれないけど」

「いいの?」

「うん」


僕は雨に感謝した。帰りながら色々な事を話して仲良くなろう。そう思っていたが、僕は緊張して終始無言で彼女を送り届けてしまった。帰ってから僕は自分を責めた。何をやっているんだ。なんで話しかけなかった。


後日。


「おはよう。昨日はありがとう」

「おはよう」


どうやら相合傘の効果は、あったようだ。

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