第576話 硝子の姫

君は鏡の中に閉じ込められている。ある日、鏡を見た王子様の目の前に映っていたのは、美少女の姿だった。話しかけてみると少女は反応した。


「君はどうして鏡の中にいるの?」

「魔女に閉じ込められてしまったのです」

「出られないの?」

「ダメ。出られない……」

「僕は君に鏡越しではなく、直接会いたい。この手で触れたい。どうすればいい」


王子様は硝子の中の少女に恋をした。


「魔女を……殺してください。魔女は私の姿で西の国の城にいます」

「わかった」


王子様は魔女を殺す為に西の国の城へと向かった。そしてついに西の国に辿り着き、硝子の姫の姿をした魔女を殺しました。城へと帰ってきた王子様が鏡を見ると、まだ硝子の姫は、鏡の中にいました。


「バカな。魔女は殺したはず。なのになぜ君は鏡から出られないんだ」

「ヒッヒヒヒ。王子、ご苦労だったな」

「まさか!?」


そう。鏡の中にいたのは、魔女だったのです。

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