第551話 クリスマスのベルが鳴る

待ち合わせの時は、いつも私が先に来ている。彼は遅刻癖が凄い。デートの待ち合わせには、いつも遅れてやってくる。デートを楽しみにしているのは、もしかして私だけなのではないかとたまに心配になる。今日はクリスマス。聖なる夜は、一年に一度の特別な日だ。私はいつものように遅刻しないよう、早めの時間帯に家を出た。そうだ、彼にクリスマスプレゼントを買っていこう。何がいいだろうか。寒い時期だし手袋なんていいかもしれない。私は店に入り、お洒落で彼に似合いそうな手袋を買った。店員は手袋を買っただけなのに、その紙で出来た手提げ袋を店の入り口まで持ってくれてありがとうございますと深々とお辞儀してくれた。そして待ち合わせ場所であるハチ公前に着いた。


チリンチリンッ。

耳元で何かが鳴って、私は思わず飛び退いた。


「メリークリスマス!!」


彼がベルを鳴らした。初めて私よりも先に来て、この寒い中ずっと待っていた。

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