第513話 ふるさと脳税

少子高齢化の日本は、高齢者医療費の増額、年金支給額の減少が大きな問題となっていた。日本政府は、財源確保の為に新たな税金を導入する事を決定した。それがふるさと脳税だ。ふるさと脳税は、ふるさとに帰省する人やふるさとを懐かしむような人達に課税する。つまりふるさとの事を考える脳に税金をかけたのだ。もうこの国では、自分のふるさとを懐かしむという行為自体に税金がかかる。


それは人権無視ではないか?

ふるさとを懐かしむ事は、贅沢と同じような扱いなのか?

人としてふるさとを懐かしむ気持ちは、当たり前の感情なのではないか?


もちろん批判は殺到した。しかしそんな国民からの批判を無視し、政府は強行した。


こうしてふるさと脳税が決定した。


そして現在――

ふるさとに帰省した事で出会い、結ばれる予定だった若い男女が出会う事もなく、婚姻率も大幅に減少した。少子高齢化は、更に進んだ。日本政府の失策である。

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