第475話 泣き虫ライダー

息子は小さい頃からバイクが大好きな男の子だった。中でもお気に入りなのは、ミニバイクの乗り物の玩具で、息子の3歳の誕生日プレゼントに買ってあげたものだ。息子は泣き虫だ。自分が気に入らないことがあるとすぐに泣き出してしまう。中でも特に近所の友達が自分のお気に入りのミニバイクの乗り物に乗られるのが大嫌いで、勝手に乗られたらわんわんと泣くのだ。

そんな息子も大学生になった。18歳になるとすぐ免許を取って、自分でバイトして貯めたお金でバイクを買った。三つ子の魂百までって言葉は、どうやら本物ね。私はそれが面白くて笑っていた。


ある時だった。私は過労で倒れて入院した。すると息子は、ヘルメットを付けたまま病室に入ってきた。余程急いでいたのだろう。


「良かった。母さん。うっ……ううっ……」


「大丈夫よ、ただの過労よ。もう……あんたって子は、いつまで経っても泣き虫ライダーなんだから」


私はまた笑った。

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