第475話 泣き虫ライダー
息子は小さい頃からバイクが大好きな男の子だった。中でもお気に入りなのは、ミニバイクの乗り物の玩具で、息子の3歳の誕生日プレゼントに買ってあげたものだ。息子は泣き虫だ。自分が気に入らないことがあるとすぐに泣き出してしまう。中でも特に近所の友達が自分のお気に入りのミニバイクの乗り物に乗られるのが大嫌いで、勝手に乗られたらわんわんと泣くのだ。
そんな息子も大学生になった。18歳になるとすぐ免許を取って、自分でバイトして貯めたお金でバイクを買った。三つ子の魂百までって言葉は、どうやら本物ね。私はそれが面白くて笑っていた。
ある時だった。私は過労で倒れて入院した。すると息子は、ヘルメットを付けたまま病室に入ってきた。余程急いでいたのだろう。
「良かった。母さん。うっ……ううっ……」
「大丈夫よ、ただの過労よ。もう……あんたって子は、いつまで経っても泣き虫ライダーなんだから」
私はまた笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます