第464話 一つ目の女

病院跡地の心霊スポットには、一つ目の女の霊が出るらしい。昔、その病院で看護師として働いていた女が事故により片目を失い、一つ目になってしまった。看護師の仕事が大好きだった彼女は、仕事を失い、そのショックで病院内で自殺したのだという。


「ねぇ。出るかな?一つ目の女」

「さあな。写真に撮ってネットにアップしようぜ。そしたら俺達、有名人の仲間入りだぜ」


一組のカップルは、一つ目の女の写真を撮ろうと廃病院へとやってきた。午前二時。辺りは暗く、ひんやりとした空気の中、病院内を歩いていく。


「一つ目の女さーん。出てきてくださーい」

「そんなので出てくるわけないじゃない。あはは」

「あはは」

「ウフフフフフ」

「えっ!?今の声聞こえた?女の笑い声」

「えっ?何も聞こえなかったけど」

「おかしいな。気のせいか」

「そうだ。写真撮ろうぜ」

「うん」


自撮りモードで撮った写真には、三人写り込んでいた。

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