第407話 帰れない女

ありきたりな日常だった。朝起きて仕事に行き、仕事を終えて帰ってくる。家と会社の往復。たまの休みの日には、疲れて眠るだけ。それだけのつまらない毎日を送っている。退屈だ。そんな私は、仕事終わりにいつもと違う事を思いついた。


「そうだ。いつもと違う道で帰ってみよう」


違う道で帰れば何か新しい発見があるかもしれない。私は、ワクワクしながら違う道を歩くのだった。


「へぇ、こんな雑貨屋があったんだ」


とても可愛い雑貨屋があった。知らなかった。これは新しい発見だ。それから更に進んでいくと、昔ながらの商店街に着いた。八百屋、魚屋等、肉屋等の店が並んでいる。


「凄い。何だか昔の時代にタイムスリップした気分だわ」


そのまま歩くと長くて暗いトンネルがあり、空気もひんやりして少し不気味だった。そしてトンネルを抜けると大きな海が見えた。


「綺麗」


……ところでここはどこかしら?

私は帰れなくなった。

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