第388話 心の転勤
あれは……歩美?
仕事帰り、付き合っている彼女が男と手を繋いで仲良さそうに歩いているのを見つけた。俺はこっそり後をつけていくと、二人はホテルへ入ろうとしていた。俺は彼女に電話をかけた。すると彼女がスマホを取り出して電話に出たのを確認した。人違いではなく、あれは歩美で間違いない。これは決定的だ。
「もしもし歩美。実はさ、仕事が思ったよりも早く終わったんだ。今から飯でも行かないか?今どこにいる?」
「家だよ。でもごめん。今日は疲れてるからまた今度」
電話を切った彼女は、そのまま男とホテルの中へ入っていった。
後日、俺は歩美に電話をかけた。
「実はさ、俺転勤する事になったんだ。遠距離恋愛は無理だから別れて欲しい」
「えっ、嫌だよ」
「ごめん。もう連絡しないで。それじゃ、元気でね」
俺は転勤なんてしない。だが彼女の心とは、もうすでに遠距離なのだ。これは、強いて言うなら心の転勤さ。
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