第342話 心臓移植

私の心臓移植手術が成功して一年が経った。体は順調に回復した。日常を取り戻した私は、異変に気付いた。苦手なキノコ類を食べれるようになった。体も軽くなった気がして運動能力が向上した。


そして――

頭の中に声が聞こえてくるようになった。


きっと私の心臓の元の持ち主だ。


やめて!!

私の体を乗っ取らないで!!


「心配しなくてもいいよ。これはあなたの体。私の人生は、もう終わっている。これからは、私があなたの人生のサポートをしてあげる。あなたの役に立てたら嬉しいな」


それから私と彼女の共存生活が始まった。運動音痴だった私は、彼女にスポーツをやってもらった。彼女はバスケをやっていたらしい。勉強は私が文系で彼女が理系。だから成績は良かった。


時が経ち、私に愛する人ができた。


「良い人に巡り合えたんだね。これからは二人で人生を歩んでいってね」


私は涙を流しながら、彼女と別れた。

ありがとう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る