第327話 デジベル

デジベル。それは音の強さを表す単位である。例えば音楽。弦楽器等で演奏される時のデジベル数は、約80デジベルだ。


一人の男がいた。ごく普通の男のように見える。


しかし――


「ヘックシュン!!!!!!」


彼の馬鹿でかいクシャミは、194デシベルだった。


194デジベル。

それは衝撃波と同じレベルのクシャミだ。


彼は、その馬鹿でかいクシャミを極力抑えて生活していた。

抑えなければとんでもない破壊力を持つからだ。


だがまさか――

彼が世界を救う事になるとは、誰も思っていなかった。


「地球に巨大な隕石が落ちてきました。私達はもうダメなのでしょうか……」


テレビからは、落胆した様子のアナウンサーの声が聞こえる。


「ああっ!?一人の男の人がティッシュでこよりを作って、自分の鼻の中に入れました」


「ヘックシュン!!」


こうして彼は、隕石を粉々にした。

彼は世界を救った英雄となった。

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