第319話 螺旋階段
気が遠くなって頭がおかしくなりそうな程、ひたすら螺旋階段を登っていく。一体どこまで上がれば頂上に辿り着くのだろうか。上を見上げても先は見えず、まだまだ続いている。私は、階段を登りながら自らが歩んできた人生を振り返る。
酷い人生だった。私が生まれてすぐ母は病気で亡くなり、父に育てられた。父は私に暴力をふるうようになった。私は、十五歳で家を飛びだした。それからホステスとして働いていた時、一人の男に惚れた。彼はヤクザだった。彼も私を愛してくれた。やがて私は、彼の子供を授かった。彼は子供の為にヤクザを辞めて、堅気の仕事をしてくれると言ってくれた。だがヤクザを辞める事は、許されなかった。私は彼と逃げた。その途中、私は出産した。だが子供は、亡くなってしまった。そして私達は、ヤクザに殺された。
ああ、そうか。
この螺旋階段は、自分の子を守れなかった私への罰。
ここは地獄なんだ。そう思うと納得した。
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