第232話 引き金を引いた
彼は涙を流しながらそっと引き金に手をかけ、私を撃った。
その瞬間、私は次第に目の前が真っ暗になっていき意識を失った。
これでよかったんだ。彼に殺される事で私の罪が償えるのならば――
死んだ後、人はどこへ行くのだろう。それは生きていた時、何度か考えた事があった。死んでみて初めて分かった。そうか、死んだら魂は宇宙へ行くんだ。そしてその魂は、宇宙から地球へと近づいていき、今度は私が歩んできた人生の映像が流れる。私は生まれた時、とても貧しかった。お金に苦労して育った。だから絶対に金持ちになってやるんだという思いで起業し、成功した。私の会社が大きくなるにつれ、私は従業員達に無理な労働を強いてしまった。そしてついに従業員の一人が過労死した。私は従業員の親族に恨まれ、そして撃たれて死んだ。私の命ひとつで彼の気が少しでも晴れるというのならば、喜んでこの死を受け入れよう。本当に申し訳なかった。
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