第225話 ゴーストタクシー

今日は何軒はしご酒したんだっけ。うーん、もう記憶にないや。そろそろ帰って寝るかぁー。終電の時間は、とっくに過ぎている。俺は千鳥足でフラフラになりながら国道に出る。すると一台のタクシーが走ってきた。俺は手を挙げた。


「ひっく……。うぉーい!!タクシー、停まれぇえーい!!」


タクシーは停まった。後部座席のドアが開いたので、タクシーに乗り込んだ。


「ひっ……。大和町まで……ひっく」

「…………」


運転手は無言でドアを閉め、車を走らせた。運転は快適だった。時々信号で停まるがブレーキもゆっくりで、急発進急加速もない。運転手の愛想は悪いが、運転技術は大したものだ。


「ひっく……上司の奴がよー。俺ばっかり目の仇にしやがってよぉ」

「…………」

「おい、おっちゃん。聞いてるか?」


運転席を見ると誰も乗っていなかった。


「ひゃぁ!!幽霊!!」


それは最近流行りの自動運転のタクシーだった。

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