第156話 暑中見舞い申し上げます

拝啓

かき氷の美味しい季節になりました。毎年、イチゴ味かブルーハワイ味のどちらにするか迷っていましたが、今年はさっぱりとした黒蜜味を食べてみる事にしました。新たな美味しさに出会い、この夏は良い思い出になりました。宮下様はいかがお過ごしでしょうか?残暑の折、夏バテなどしないようにクーラーの利いた部屋で、是非かき氷を食べてお過ごしください。また会えるのを楽しみにしております。あなたの心の恋人、森下より。

令和二年 盛夏。


アホの森下から暑中見舞いのハガキが届いた。メール一本送れば済むこの時代にわざわざご丁寧な事だ。内容はやっぱりアホだ。どうせ夏の季節感を洒落た言い回しで言いたくて考えた末、かき氷になったんだろう。あいつらしい。


「……ってか、あなたの心の恋人って何!?気持ち悪っ!!」


男同士で心の恋人を自称してくるなんて怖いわ。ただでさえ暑いのに少し想像してしまい余計暑苦しく感じた夏の日だった。

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