第138話 良い句

「もしもし」

「あー、カズヤか?おじいちゃんじゃよ。実はのぉー、カズヤに頼みたい事があるんじゃ」

「どうしたの?」

「今度のぉー、町内会の集まりがあるんじゃが、そこで川柳を披露し合う事になっとるんじゃ。それでおじいちゃん、その日に病院の検査の日なのをすっかり忘れてしもうとってなぁ。カズヤ、おじいちゃんの代わりに町内の集まりで代役として川柳を読んできてくれんかの?」

「ええー、何それ。面倒だなー」

「おこづかいやるから頼む。な?」

「おこづかい!?……わかったよ。行くよ。それでおじいちゃんが考えたのってどんな川柳なの?」

「それがな、良い句があったが忘れてしもうたんじゃ。カズヤが良い句を考えてくれんかのぉ……?」

「ええー!!」

「頼んだぞ」


電話は切れた。

俺、川柳なんて考えた事ないぞ。

どうすればいいんだ…。

そんな俺の今の気持ちを川柳にした。


鳴かぬなら 俺が泣いちゃう ホトトギス

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