第134話 不思議の国のアイス

そのアイスは、甘くて冷たい。溶ける事もないらしい。そのアイスを食べると夢の世界に迷い込む。最近、そんな謳い文句のアイスが話題になって流行っている。それが不思議の国のアイスだ。クレープ屋としてクレープを売っている私としては、突然のライバル出現に驚いている。近頃売上が少し落ちている。これは由々しき問題だ。このままでは客達が皆、不思議の国のアイスに持っていかれてしまう。私は敵情視察をする為、不思議の国のアイスを購入する事にした。


「いらっしゃいませ」


ニコニコした店員が声をかけてくる。


「このストロベリークリームを」

「はい、どうぞ」


見た目は至って普通のアイスだ。そんなに話題になるとは思えないが……。

早速食べた。

すると目の前に広大な草原と青い空が広がっていた。私は不思議の国へと連れてこられた。綺麗な景色だ。

もうクレープ屋なんてやめよう。ここで暮らそう。私は夢の世界へと旅立った。

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