第126話 一秒先を読める嫁
「おい、お……」
「はい、お茶」
しかも程良い温度になっている。飲み頃だ。
「おい、し……」
「はい、新聞」
そうそう。今日は何のテレビがあるか見たかったんだ。
「おい、ゆ……」
「もうすぐできますよ」
夕飯、もうすぐできるのか。
結婚して30年。亭主関白の俺と一秒先を読める嫁。
夫婦二人三脚で色々な困難を乗り越えてやってきたんでしょ?
皆がそう言うが、実は違う。
実は俺の嫁は、超能力者であり、本当に少し先の未来が見えるのだ。
あれは俺が嫁にプロポーズをした時の事。今思えばあの時もあっけなかった。
「あの……ぼ……」
「はい。不束者ですがよろしくお願いします」
僕と結婚してくださいの”ぼ”しか言ってないのに、嫁に先読みされてしまったのだ。
だからな、よく人に聞かれる事があるだろ?
プロポーズの言葉を教えてくださいって話。
俺のプロポーズの言葉はな……。
「ぼ」なんだよ。
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