第121話 短冊に書かれた願い事

今日は七夕。街には、たくさんの短冊がかけられている。たまに面白い願い事書いてる奴とかいるんだよな。ちょっとどんな願い事を書いているのか覗いてみるか。


「おかあさんのびょうきがなおりますように」


ひらがなだけで一生懸命、子供が書いたであろう願い事が書かれていた。


「いいだろう。その願い、叶えてやろう」


俺は織姫。おっと……そこのお前。織姫は女だと思ったか?

実は違うんだな。神の世界では、織姫っていうのは、願い事を叶える役目を任された者の事を指すんだ。純粋に母の健康を祈る子供の願いだ。それは神として聞き入れてやりたいと思うだろう?


「……ってあれ!?この子の母親、病気じゃないぞ。なるほど。そういうことか」


この子の母親は、妊娠していたんだ。そしてもうまもなく生まれてくる。


「坊や、心配しなくていいぞ。君の願いは叶う。そして君はお兄ちゃんになるんだ」


…優しいお兄ちゃんになれよ。

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