第116話 ラストゲーム

日本ジュニアサッカー大会決勝。

1対0。残り時間5分。1点でいい。あと1点取れば同点に追いつく。そうすればまだ逆転のチャンスがある。だが相手の固いディフェンスに阻まれ、全く前にボールを出せない。くそっ……。これが俺達にとって最後の大会なんだ。このチーム最後の試合だ。最高の思い出で優勝したい。ここまで来たんだ!諦めるもんか!


「選手交代。水田。清水と代われ」


水田はうちのエースだ。だが水田は足を負傷したから、この試合では出さないって言ってたじゃないか。


「よう。俺が来たからには安心だ。2点取ってやる。任せとけ」

「お前……足は!?」

「こんなのなんともねぇよ。心配すんな」


水田が入り、形勢は一気に変わった。残り5分で3点取り、3対1。逆転勝ちした。


「へへ…。やったな。最後の思い出になったかよ」

「水田。お前足を引きずってるじゃないか」

「あ、バレたか」

「馬鹿野郎……無理すんな」

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