第113話 メッセージノート

私が働く病院には、一冊のノートがナースステーションに置いてある。そしてそのノートには、奇妙な決まり事がある。それは、誰かが亡くなった次の日にこのノートを見る事という事だった。新人の私は、その日初めての夜勤だった。


ピピッ!!ナースコールが鳴った。


「203号室の大西さん。急いで」


先輩に言われて私は、大西さんの病室に向かった。病室に入ると大西さんは痙攣していた。急いで緊急手術が行われたが、残念ながら亡くなってしまった。

大西さん……。いつも新人の私を励ましてくれた優しいおじさんだったな……。初めて患者さんが亡くなって私はショックで泣いた。


「森本さん。ノート見てみなよ」


先輩に言われた私は、初めてノートを見た。そこには、大西さんから私宛に感謝のメッセージが書いてあった。


「これ何ですか?」

「亡くなった患者さんが最後にメッセージを残せる魔法のノートよ」


私はまた泣いた。

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