第98話 裕福な空き巣

「なぁ、また出たらしいぞ」


友人が僕に言う。


「出たって何が?」

「裕福な空き巣だよ」

「なんだそれ」

「留守にしている家に無断で忍び込んで金品を置いていく空き巣だよ。今回は百万円を置いていったらしいぞ」

「そんな奴がいるのか」

「あーあー、いいなぁ。俺んちにも入って来ねぇかなぁ」


留守にしている家に入り、金品を置いていく。裕福な空き巣の噂は、広まっていく一方だった。

そんな奴がいるのならお目にかかりたいね。一体どんな奴なのか。裕福な空き巣って何者なのか一度、顔を見てみたいものだ。


ある日、出かけ先に向かう途中、俺は家の窓を閉め忘れて出てきた事を思い出した。まずい。盗られる程の高価な物はないと思うが、慌てて家へと戻った。


ガチャガチャガチャ。

誰もいるはずのない家から物音が聞こえる。

まさか空き巣か!?


庭に置いてあるバットを手に持って近づくと、そこには恵比須様がいた。

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