第96話 魔女のヒッチハイク
あの老婆と出会ったのは、寒い冬の夜の事だった。山道を車で登っていると、全身真っ黒の服を着た老婆が手を挙げた。ヒッチハイクだ。車を老婆の前で止めて窓を開けた。
「おばあさん、どうしたの?こんな時間にこんな場所で一人?」
「悪いねぇ。すまないけど山の上にあるワタシの家まで乗せて行って貰えないかねぇ?お礼はするから。イヒヒヒ」
不気味な笑い声をあげた老婆を助手席に乗せて山道を登っていった。そして老婆の住む家に着いた。
「助かったよ、ありがとう。お礼に良い物をあげるから、ちょっと待ってな。イヒヒヒ」
老婆はそう言うと家の中に入っていった。そして林檎を持ってきた。
「これは毒林檎。食べた人間は、確実に死ぬ。しかも毒は検出されない優れ物さ。殺したい奴に食わせたら二日後に死ぬのさ。イヒヒ」
俺は毒林檎を受け取り、いつも偉そうにしている上司に食わせた。
俺は今、心の中でイヒヒと笑っている。
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