第67話 龍の口

生前、親父が書いた遺言書には、こう書かれていた。


”龍の口を最初に攻略した者に全ての財産を譲渡する”


親父が多額の費用をかけて作ったオリジナルのパチンコ台。それが龍の口だ。釘の間を通っていき、チェッカーに入るとセンサーが反応し、上部の扉が一秒間開く。開いてる間に球を入れて扉を突破し、開閉する龍の口に球が入ると大当たりだ。生前、何度やっても大当たりなんて一度も出なかった。親父の設計ミスの失敗作だと思っていた。まさかコイツを攻略しろだなんて…。


俺は幼い頃、親父から聞いた言葉を思い出した。


「いいか。左か右。迷ったら右を選べ」

「そ、そうか!!そういうことか!!親父、分かったぞ!!」


俺はパチンコ台の前に座り、左打ちではなく、右打ちでパチンコを打ち始めた。チェッカーに入り、扉が開いた。


「今だ!!行けー!!」


龍の口に球が入った。

こうして俺は、親父の遺産を相続した。

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