第8話:復讐
復讐の準備を全て整えた私は、三人と共に王都に転移しました。
本当は一人でも復讐できるのですが、三人がついて行くと言い張ります。
嬉しいような恥ずかしいような、何とも言えない気持ちになりました。
ただ正直言って三人にしてもらう事は何もないのです。
だから私の護衛に徹するように言い聞かせました。
私は恨む相手を斬り殺したいわけではありません。
正確にやられた事をやり返したいのです。
気配消去、臭い消去、透明化などの魔術を使って私達の存在を消しています。
その上でプランケット公爵家の王都屋敷を火事にしました。
誰にも疑われないように、台所や暖炉から火を広げたのです。
そして、恨み重なる連中の顔に二目と見れない火傷を負わせました。
母のイヴォンヌ、母が配偶者に選んだゴーエル男爵セヴラン、ゴーエル男爵の子供達レイモン、シュゼット、セヴランの三人の顔を焼け爛れさせました。
母達への復讐を済ませた後は、直ぐに王城に転移しました。
ユルリッシュ国王とヴィルジール王太子への復讐です。
二人が私の顔を焼かせたわけではありませんが、名誉を奪ったのは確かです。
だから恥をかくような復讐にしました。
公式の場に出られないようにしました。
国王と王太子の内臓に呪いをかけたのです。
栄養はとれるものの、食べたモノを垂れ流しにしてしまう呪いです。
排便を自分の意思で止められないように、大腸と肛門を変質させました。
これでは国王として公務などできなくなります。
荘厳な場所での重要な公務であろうと、いつ粗相するか分からないのです。
王侯貴族の前で粗相して、王としての威厳が保てるはずがありません。
復讐を終えた私達はホワイトリー伯爵の領城に戻りました。
★★★★★★
「ユルシュル嬢、ちょっと相談があるのだが」
ホワイトリー伯爵がもの凄く困った顔で話しかけてこられます。
王家に私の復讐が露見したのでしょうか。
そうならホワイトリー伯爵に迷惑が掛からないように逃げた方がいいですね。
「何事でございますか、私にできる事なら何でもさせていただきますが」
「実はプランケット公爵家の領民が、ユルシュル嬢を慕って我が領地に逃げてきているのだが、我が家には彼らを受け入れる余裕がないのだよ」
「では私が個人的に召し抱えてもよろしいでしょうか。
それと、伯爵が認めてくださるのなら、彼らを使って未開地を開拓したいです」
「おお、そうしてくれますか。
そうしてくださるのなら、開拓してくださった未開地はユルシュル嬢の台所領として差し上げましょう」
これは願ってもない事ですね。
私の台所領となるのなら無制限に開拓してやりましょう。
何ならプランケット公爵家の全領民を奪ってもいいですね。
王太子に求婚された公爵令嬢は、嫉妬した義姉の手先に襲われ顔を焼かれる 克全 @dokatu
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