第492話 DISCOVER JAPAN





友里恵たちは、由布院の駅舎の反対側の

リトルちゃんの小屋から・・・改札に行こうかと。


友里恵は「メンドイなぁ、線路走っていけ」



由香「危ないじゃん。捕まるよ。そーすっと国鉄の就職はおじゃん」



パティ「わたしは行きませんよー」


そりゃそうだ、職員が一緒で・・・じゃね(^^;




じゃーしょーがない、と・・・遠回りして。来た踏切を駆け足。



由香「走らなくても大丈夫だよ、来た道だし」



友里恵「それはそうだけど・・・なんかね」


パティは「35分だから大丈夫ですよ」と、のんびり。



駅を見ると、赤いディーゼルカーが一両で、エンジンが かっかっか・・・と

回っている。


新しい車両で、綺麗だ。 DC220、とある。

黄色い車両よりも大きめ。


駅舎側のホーム、1番線には緑のメタリック、「ゆふいんの森」が

博多から着いて。

これから折り返し。お部屋をお掃除するので

ピンクのユニフォームの、おばさんたちが

大きなワゴンを押して。お客さんが降りるのを待っている。




林の中の踏み切りを越えて、駅舎側に渡ると

由布院小学校が見えた。



そちらには行かず、線路の脇の小道を通って

駅へ。


由香は「なんであっちに改札ないんだろね」



パティは「ハイ。あっちは住むとこで、こっちは仕事のとこ」



友里恵「なるほど。観光客が一杯来ると落ち着かないもんねぇ・・・あたしらもさ、

観光バスで昼休憩っていっても、眠くても寝られないもんね。場所もないし」



由香「路線バスならエンジンの上」



友里恵「うん。でもガイドの服着てて寝られないじゃん。バスの中は

ドライバーが寝てるし」



パティ「近くで寝たら」



由香「まあ、それでも客がさー、ひとりやふたり、残ってるんだよなー」



友里恵「そうすっとドライバーも寝れないし・・・・ドライバーは辛いよね。運転してるし」



とかいいながら、由布院駅のそばまで来て、あの・・・お馬さんの場所のとこの後ろに来て。


茶色いお馬さんのお尻が見える。



パティ「かわいい」

由香「ポニーテール」

友里恵「バケツ」



由香「馬ケツか、語源それ?」



友里恵「知らない」



由香「まあ・・・知ってるとは思わなかったが」




友里恵「じゃ、先行ってて。便所」



由香「出ちゃうぞ」



友里恵「こっちも出ちゃう」


由香「列車の中にしろよ。駅の個室、込んでたらアウト」



友里恵「う~~””」と、仕方なく改札をくぐって。跨線橋を渡る。



由香「由布院最後の時だってのに、風情ないなぁ」


友里恵「自然の摂理」



パティ「確かに・・・」



黒く塗られている橋は、中は昔と同じで。


ポスターが一杯貼られていて。



DISCOVER=>JAPAN



とか。




フルムーンパス



とか。




青春18、のーびのび。




とか。







ポスターはどこの駅も変わらない。




屋根の上から見ると、赤いディーゼルカーは

薄い煙を吹きながら、揺れている。



黄色いディーゼルカーより大きいのと、ステンレスのサッシの枠が

見えるので軽そうな感じがする。






伯母さんは、お茶を出して「これから、夕方までどうするの?」



愛紗は「友里恵ちゃんたちと一緒に、少しぶらぶらしてるわ」



伯母さんは「そう。向こうへ帰ったら、すぐ青森へ行くの?」



愛紗「会社が許せばね」



菜由は思う、許さないことは・・・ないと思うけど。

ガイドに戻るなら別だけど。


そのガイドの仕事も、このところ減っていて。

大地震が起きてから、観光のツアーも減ったし

インフルエンザみたいな流行りもあって。


気楽に出かけよう、と言うムードが遠のいていた。


それで、大岡山でも新規のガイドは皆、契約で取っていた。

ほとんどは更新されるけれど。

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