第468話 train series583


「理沙さんって、いい人だね」と、打たせ湯から離れた友里恵は

髪がぜーんぶ体に張り付いて。



由香は「オバケだぞ、それだと」と、笑って。それで「理沙さん?」




友里恵は、前髪を持ち上げてオールバックに(笑)。


それで「そう。今日も、由布院までわざわざ来なくてもいいのに」



由香は「それが青森人なんじゃない?あっちって、情が篤いって言うし」



友里恵「そういえば・・・タマちゃんもおとーさんは青森だとか」




由香「うん。なんとなく似てる。理沙さんと、感じ。」



友里恵「他人だってのにね。愛紗は。」



大きなジェットバスに、階段を伝って入る。



由香「うん・・・なんか、いいよね、そういうの・・・・大岡山でもそうだったね。

東北の人。暖かい感じで。」



ジャグジーの中へ、左足から入る。

泡がぼこぼこ・・・・。


ドライバーに多い。東北から仕事で出てきて、いろいろあって

バス・ドライバーに落ち着く人。

粘り強いのだろうか、東北人。






203号室、畳のお部屋で理沙は、ごろりと横になって。



休暇の旅プランを考えていた。

そういう瞬間はとても楽しかったりする。


「えっと・・・Aー公休ー公休ー有給ーBの時を使えば2夜行で行けるなぁ。



A勤務

大分空港辺りから、空路、東京へ。

愛紗と落ち合う。

上野から寝台特急で、青森へ。

公休1

公休2

有給

新幹線+寝台特急で大分へ。




・・・でもいいし。・・・・。




A勤務

大分空港辺りから、空路、東京へ。

愛紗と落ち合う。

上野から寝台特急で、青森へ。

公休1

|     寝台特急で、上野へ。

公休2

|     寝台特急で、大分へ。 

有給

ゆっくり休んで。

B勤務。





・・・でもいいなあ。全部鉄路でもいいけど・・・そうすると、弘前で1日だけになるね。

時間。




A勤務

「富士」で東京へ。

公休1


愛紗と落ち合う。

上野から寝台特急で、青森へ。

|     

公休2

|   寝台特急で、上野へ。 

有給

寝台特急で、大分へ。

B勤務。




・・・ちょっとハードかな(^^)。」


なんて。でも




「遅れたら終わりだしね・・・余裕を持った方がいいな」



とは言っても、お天気も安定している5月である。そんなに困るとは思えないけど

疲れた状態で乗務するのは避けたい。



なによりも責任のある任務である。




「それ、考えると行きは飛行機かな。帰りは1日開けて。」



なんて思うと。




A勤務

大分空港辺りから、空路、東京へ。

愛紗と落ち合う。

上野から寝台特急で、青森へ。

公休1

|     寝台特急で、上野へ。

公休2

|     寝台特急で、大分へ。 

有給

ゆっくり休んで。

B勤務。



これになるかな、なんて思う理沙だった。

空想の旅は楽しい。




「弘前で落ち合うなら、まっすぐ空路でもいいね。でも、久しぶりに上野も歩きたいし・・・。」


なんて、いろいろ楽しんでいる。


「上野発は・・・「あけぼの」かな?22時台は。


「はくつる」は21時だったから。


伯父さんの乗務が会えば、同じ列車で行くのもいいね・・・・。



理沙の伯父は、現役の車掌である。東北線で、専務をしている。


その伯父もまた、駅員・改札掛から始めた叩き上げで

高校卒。


出札掛になり、車掌になり・・・。

偶々、夜行列車の増発があった時期になり、夜行寝台の

乗客案内掛で数年。


その後、専務になった。


そろそろ定年である。



「電車寝台もいいね、風情があって。」なんて、理沙は思う。



その、夜行列車大増発があったオリンピックの時期に

投入された電車寝台583系。

今も、時々走っている。



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