第367話 味覚トロッコ列車

島になっている2・3番線ホームから、跨線橋を渡って1番線ホームへ。




橋の上から見ると「懐かしい駅前ー。バスがいるね」と、友里恵。




由香「ほんとだ。駅前狭いね、道」




遠くからみてすれすれのところをバスは通っていくけど


運転席から見ると結構広いのも、愛紗は知っている。


バスは長いから、後ろのタイヤが通るぶん


前に出ないといけないけど。




線路に沿って道があって、駅から離れたところの交差点で右、左。




耶馬溪や、久住へ行くのだろう。






1番線に降りて、理沙は「じゃ、あたしはちょっと事務室行ってくるね、待ってて」と。






事務室へ入って。




理沙は「こんにちはー」






豊後森の駅長さんは「ああ、ご苦労さん。悪いね勤務変更」と、にこにこ。


痩せた、すらりとしたおじさん。にこにこ。銀縁めがね。






理沙は仕業表と、携行品は由布院駅で受け取っているので


ここでは自分の列車の発車時刻確認だけ。




「9001列車ー、13:00、橋本、出発します!」と。


帽子被って、敬礼。




駅長さんも、同じく、敬礼「ご苦労様。」








判子押して。自分の列車のダイヤの先端。




ホントの仕業表は、大分管理局にあるので


ここは中間点呼だけ。






駅長さんは「お天気もいいし、金曜だからのんびりね」






理沙は「はい。だいたい・・・40km/hくらいでしょうか。トロッコだと」






駅長さんは、少し考えて「快速運転だけど、まあ、のんびりやって大丈夫ですね。


この列車、ビールとおつまみの列車だから」






理沙は「運転してると飲めないけど」






と、にこにこ。








駅長さんは「残念、残念」と、にこにこ。








理沙もにっこり。「じゃ、いってきまーす」






事務室の扉を静かに閉めて。








4月と言っても、九州はもう夏みたいに日差しが強い。




左掌で、帽子のつばを押さえた。




機関士は、ふつう整備士のような帽子だけど


きょうの理沙は、「ゆふいんの森」の乗務スタイルだったので


黒いスーツに、男子と同じ制帽で。




「ちょっと暑いかな」なーんて・・・。




DE10は、冷房がないのだ(^^;






友里恵たちは、機関車のところで待っていて。






理沙を見つけて「あ、理沙ちゃーん」と、友里恵は手を振った。






理沙もにこにこ「おまたせー」




とことこ、アタッシュケースと携行品、仕業表を持ってホームを歩く。




トロッコ列車は、屋根なしの貨車を改造したもので


ドアのように、一箇所切り取って開閉するヒンジがつけてある。






既に、CAがおつまみとビールを配っている。




理沙は「こんにちは」と、挨拶をした。






CAは、パティが昨日着てたようなメイドさん服で、にこにこ。




「こんにちは」と・・・・。








理沙は「ああ、文子ちゃん。がんばってるね。」






文子は、はい、と・・・」




小柄。丸顔、ふんわり。


色白なので、黒い制服がよく似合う。






胸のバッジは




大分車掌区


  松井






と、ある。








ホームの、理沙の後ろから


ダンボールで、缶ビールを持ってきた、もうひとりの乗務員は




「おつかれさまですー」と。




メイドさん服ではなく、理沙と同じ黒いスーツ、上着を脱いでエプロン。








理沙は「ああ、洋子ちゃんも一緒」






洋子は、黒い瞳、黒い髪はさっぱりショート。


聡明そう。






小柄、ちょっと文子よりは背が高い。








「はい。」と、にっこり。




胸のバッジには




大分車掌区


  三井






と、あった。








理沙は「車掌さんが洋子ちゃんか。お願いシマース」と、すこしおどけて


ご挨拶。






洋子はにっこり。




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