第348話 ヴァイオリン・ソナタ

友里恵と由香は、堤防をぶらぶらしながらKKRに帰る。


白滝川は、そんなに大きな川ではなくて

川のなかに、いくつも中州が出来ていて

草が生えている。


お水は、きれい。



自然のままなので・・・

鴨ちゃんが、ぷーかぷか。


友里恵は「かわいいねー」と、にこにこ。


お母さん鴨と、子鴨が一緒に、ぷーかぷか。


由香もにっこり「ひよこちゃん、いないかな」



友里恵は「にあわねーセリフ」


由香は、すこし赤くなって「うるさい!」と、友里恵をひっぱたこうとすると


もう逃げていた。




由香は「逃げ足の速いやつめ・・・」(^^;




金曜日とあって、KKRの駐車場にもすこし、車が入ってきた。






裏の、鉄扉を開けて入ると、いきなりフロントを通らずに

温泉に入れたりする(^^)。



友里恵は、その鉄扉を開けて

業務用のエレベータで4階へ。


由香も追っかけてきて「早いなー逃げ足」



友里恵「わかったか」



由香「ナニが?」



友里恵「ハハハ」


と、エレベータの△を押して。








すぐにエレベータがやってきて。

金ぴかでない、ふつうのエレベータの方が、落ち着く。



友里恵は「なんか、アレって霊柩車みたい」



由香「ハハハ。イメージ悪。でもたしかにそう」



すぐに4階にエレベータは着いて。


回廊に、お掃除のおばさんたち。


連泊でないお部屋のお掃除をして


友里恵は、なんとなく「ごくろうさまですー」と、おじぎ。


おばさんたちも「ありがとうございます」と。にこにこ。



由香も「おつかれさまです」



なんとなく、商売柄・・・と言うか。



客だから、と言う意識になれないふたりだったり。




友里恵は「ここだけで一週間くらい居たいね」と。にこにこ。

回廊から差し込む朝日を見ながら。


まるい頬は、あどけなく見える。

長い髪は、綺麗に整って。



由香は「タマちゃんは、そのくらい居たんでしょ?」



友里恵「うん。そうだって。阿蘇へ行ったり、佐賀関へ行ったり。」


由香「佐賀関?」



友里恵「うん、なんか、サバが美味しいとか・・・どっかで出たね」


由香「えーと・・・指宿かな?酢〆じゃないのって初めてだったね」



友里恵は「あれを、なんか・・・いっぱい食べたとか。関サバ。

現地だと安いらしいの。

大分の市場だと安いんだって、ブランドがつかないから。

ふぐもそうだって」



由香「ふーん。なんか、ここに居ると太りそうだ」



友里恵「いえてる」と、笑いながら。


408号のドアサイン



♪ぴんぽーん・メロディ♪



由香「なつかしいね、このメロディ」



あの、バイトしてたコンビニのドアサインと同じ。



友里恵「♪だーばだば、だーやー♪」


由香「なんだそれ」



友里恵「あの日に帰りたい」



由香「ふっるー」



友里恵「でもそうだね」



由香「ほんと」


と・・・重厚なドアを開けて。


お部屋に。



友里恵は「なんか臭くない?」



由香「イヌ年だなぁ」


友里恵「ネコ年だよ」


由香「そんなのないよ」


友里恵「そーだっけ?ねー、うし、とら・・ねー、ってなんだっけ?」



由香「ねずみ」


友里恵「あ、そっか。うー、ってなに?」



由香「昔、デパートの上にあったね。鬼のおなかにボールぶつけると

うー


って、鬼が言うやつ」



友里恵「あー、あったあった。どこだっけ。大岡山駅?」



由香「ニチイじゃない?」



友里恵「そーだったかなぁ。西武かな」



由香「忘れた。大分駅の近くにあったね。ニチイ」


友里恵「そうだっけ?」




由香「ほら、来たとき、クリームソーダ。そのあと、愛紗がさ。

バス停で、車椅子の人乗せてあげて。バスに」


友里恵「そんなことあったねー。なんか遠い昔みたい」



由香「先週の土曜じゃん」



友里恵「先週の明日か」



由香「ヘンな言い方するな。頭が壊れる」



友里恵「壊れてるじゃん、もともと」



由香「確かに・・・・」



友里恵は「あんなにきっちりできるのに、愛紗。

何が怖いんだろ。」



由香「うーん・・・わかんないけど。人轢いたら確かに怖いよね。

死亡事故って。あたしも経験ないもん」


友里恵「まあ、人によるよね。あの、寮に居たあの仕切りババ。

あんなんだったら轢いても惜しくない」


由香「惜しくないって」



友里恵「ハハハ、でもそー思うけど。あんなのは轢いちゃえー」



由香「ハハハ」



友里恵「轢ーかれてキャッツアイ♪」



由香「ネコはかわいそうだろ」


友里恵「轢ーかれてババアイ♪」




由香「字足らず」



友里恵「ハハハ」



由香「ハハハ」

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