第334話 miwa

美和は「まあ、トラック経験なしにバスを運転するのは

大体無理だけど。」と・・・


排気ブレーキを掛けて、減速。

右折レーンで停止した。


深町は「僕もそうだけど」と言うと。


美和は笑って「タマちゃんは別よ。東大だもん」


深町も笑って「そういえばさ、お母さん大学の職員でしょ」


美和は「そう。お小遣いさんよ」と。謙遜して。

ギアを1に。


信号が青になったので、バスをゆっくり前に進めた。



深町は「スクーターとぶつかったとき、助かったな」




まだ、路線に深町が乗っていた頃・・・・

大学生がスクーターでレースをしていて。対向車線から

オーバーラン。


右カーブを曲がっていた深町のバスの下にもぐりこんだのだった。



その学生が、美和の母が勤務する大学の生徒だったので

上手く処理され、スクーターの単独事故だと言うことになった。





「でも、お母さん、よく僕が深町だとわかったなぁ」と、今思い出すと。

キャンパスにバスを止めて、休憩しているときに

美和によく似た、小柄の婦人が話し掛けてきて。


「すごい大学出てるんだって?」とか。



美和は、すこし恥ずかしそうに「あたしが話してたから」と。

信号が右矢印になったので、バスを走らせた。


12m車で、ドライバーの位置だと

船のように、ふわふわと回る。


乗り心地が一番いい場所だろう。


7m車でも同じだが。



深町は「学習院だとか・・いろいろ。それでかな。新人ガイドさんが

甘えてくるようになって。」



美和は「懐かしいね・・・・。そのひとりが、愛紗ちゃんだった」



深町は頷く「そう。菜由ちゃんとね。他にも何人か。」







美和は、真似をしてかわいい口調で「おなかすいたー、とか。

なんか食べいこー。」と、楽しそう。



深町は「そうそう。朝だから時間ないので

「おにぎりならあるよ」


と言うと。


「あったかいのがいー」



とか。」




美和も笑顔で。駅までの片側2車線の道路をゆっくり。

左レーンを走った。


「そうそう。それで・・・・あの子。


「じゃ、帰ってきてからにしよー」とか。


それで、運転手連中がキレて。」


ハハハ、と笑って。



深町は「僕のせいじゃないよ」



と言うと、美和は「女難ね」と、笑った。



バスは、ゆっくり減速して左に曲がる。

12mなので、右レーンに少し出てから

左。


後輪が通過するのを見越してから曲がらないと

引っかかる。



美和は「東大でもモテてんでしょ」と、にっこり。



深町は「そんなことないよ」と・・・。


まあ、若い学生は

教授たちよりも、深町に親しげなことは事実だったが。



新人歓迎会、なんてものをしてくれて。


女子学生のひとりが、アニメの聖地巡礼をした話をして

深町も「そこ、住んでた」なんてハナシをして

盛り上がったり。



助け合いのアニメなので「超伝導も同じなんだよね」と・・・。


理論のお話を易しくたとえ話にしたり。



教授たちは、そっちのけ(笑)なので・・・

つまらなそうにしてたり。



「まあ、確かに・・・女難かも」と、深町はひとりごと。




バスは、駅の裏側にある

バスターミナルに着いた。



停留所に付けるには早いので、待機所でドアを開けてくれた美和。


深町は「ありがとう」と、礼を述べて。



美和はにっこり「ホントに帰ってくる?」と。



深町は「たぶん・・そうなるかも」と言って、バスを降りて手を振った。



その・・・教授連の嫉妬(w)で

仕事がやりにくくなっているのも、あったりしたから。









KKR由布院の、408号室。



フロントさんにかぎを開けて貰った友里絵は「ありがとー」と、にっこり。



フロントさんは、にこにこ。




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