第309話 あー、閉まっちゃった!

と・・・。

ブロンズのキーホルダーがついた、部屋の鍵を

テーブルにおいたまま・・・・。



ばたり。



スリッパで、廊下をとことこ。お隣の部屋へ。


♪ぴんぽーん♪



「はーい」と、さかまゆちゃん。



ドアを開けて「あら、パティ。浴衣?かわいい」


パティは「エヘヘ」



さかまゆちゃんも浴衣だけど、やっぱり背が高いから

男子用の特大。で、紺色の羽織。


「パティ、羽織った方がいいんじゃない?そのままだと見えるよ」

と、さかまゆちゃん。



ぼいん、ぼいーん(^^)。


パティは「ハイ」と、言って・・・お部屋に戻ると・・・・・


「開かない」(^^;



ノブをかちゃかちゃ。



さかまゆちゃんが「あー、オートロックだからこれ」


パティは「ロートレック?」



ともちゃん「絵も好きなの?」と。桃色や、若草色が入った

婦人用浴衣に、羽織。


背丈も160cmくらいなので、ふつう。



さかまゆちゃん「これ、しまっちゃうの。自動で」


友里絵が出てきて「あー、鍵。行ってきてあげる!」と、フロントに向けて

階段を下りていった。



さかまゆちゃんは「エレベータで行けばいいのに(^^)、元気だなぁ」



ともちゃんは・・・その、友里絵の元気なかんじに・・・。


中学の頃、一緒だった。

裕子のことを思い出していた。



裕子と、朋恵は

同じ中学で・・・。



裕子はバスケ部。

山の手の、いい所のお嬢さん

なんだけど、活発でオチャメで。


元気一杯!。


2年の時、同じクラスになって・・・・。



放課後、朋恵が吹奏楽のパート練習を

抜け出してきて。


F組でよく遊んだ。


ギターの好きなカトーくんとかと、歌を歌ったりして。



裕子は、同じバスケ部の笠原くんがタイプで。


ユーモアのある笠原くんと、いつもふざけていた。



そんな時・・・・南からきた転校生が

笠原くんに想いを寄せて。


笠原くんも、かわいい、その転校生が

気になってしまったり。



そんな時でも・・・裕子はふつうにユーモアたっぷり、元気な子だった。



どっちかと言うと、考えたりしてしまう朋恵は

裕子が「すごいなー」と、思っていたりした。




高校入試の時、裕子は

私立の、お嬢様学校へ行ったので・・・・。



高校を出てから、まさか同じ仕事になるとは思ってなかったけど。



でも、裕子は昇進試験を受けて、車掌になったりして。



朋恵は、もともと、そんなに昇進って興味がなかったりする(^^)けど

でも、その努力はすごいなぁ・・と。

中学の頃と同じ事を思ったりして。







さかまゆちゃんが「とーもちゃん。どしたの?」



ともちゃんは「うん。なんでもなーい、ちょっと思い出」


さかまゆちゃん「ふーん、あ・・・友里絵ちゃん来た!」


フロントの若い人と、一緒に「鍵、あったよ!」



由香は「無かったら困るよ」(^^)。




フロントの若い人は、にこにこ。大柄なお兄さんで

クロ眼鏡、四角い顔。


蝶ネクタイがちょっと苦しそう(^^)。「はい、開きました。電話で呼んでください。」と。


パティは「ありがとうございまーす」と、お辞儀。

大きなパティが、お辞儀をすると

ブロンドの髪が揺れて。華やか。

いい香りがする。



友里絵も「ありがとうございまーした」と、にこにこ。


お兄さんは、にこにこ。階段を下りていった。







愛紗と菜由が、タオル持って出てきて「どしたの?」と、菜由。



パティが「鍵をいれたまま、閉じちゃって」と、ちょっとはずかしそ。



愛紗「オートロックだから、ここ」と。

茶色の、ふかふかしたレザーで巻いてある

重厚なドアを見て。


パティは「あ、そう。それを聞こうと思ったの。お風呂行く・・ね。」と

タオルを見て。


愛紗は「うん、さっぱりしてからご飯がいいかなー、と思って。

汗ながして、とりあえず」



友里絵は「そだね!。じゃ、風呂風呂!」と、408に戻る。



愛紗は「あ、お風呂は地下と、2階ねー。2階は露天だから」と。



菜由は「露天、あったんだ。」



愛紗は「うん、なんか、最近出来たみたい。」



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