第261話 雨の南阿蘇

恵は「真由美ちゃん、起きちゃったかな・・・。」と。

気配を伺ったが・・・。


そんな雰囲気もない。



「疲れたんだよね、きっと」

新しく人に会うだけでも、そうなのに

いっぺんに4人お友達が出来て。すぐ別れて。



恵は、そんな真由美ちゃんを愛おしく思う・・。


「おっと、便所、便所」(^^;


と、静かに静かに。今度はコケないように・・・と。

廊下を歩いた。




翌朝・・・・恵が目覚めたのは8時過ぎていて。


既に、真由美ちゃんは居なかった。

静かーに、お布団を畳んで、隅っこに置いてあって。



「あ、行っちゃったのか」と・・・。


凛々しく働く、真由美ちゃんの姿を空想した。




人吉車掌区にて・・・真由美ちゃんは、制服に着替えて。



アルコール呼気検査。

乗務員証をかざして、カメラつきのアルコール検知器に息を入れる。

短いストローを使って。



ピープ音が鳴り、緑ランプが点灯。


今朝も良好だ。





仕業板で、今日の行程を確認。


自分の行程の始まりに、印鑑を押す。


「4B,日光、出発点呼お願いします!」


制帽をかぶり。



老練の車掌区長は、にこにこ。「はい、行っておいで」


ここは、人が少ないし

みな顔なじみなので、のんびりしている。



運転士なら、運転指令が行うし

ややものものしいが


真由美ちゃんは車掌補、と言って

昔で言うスチュワーデスのような仕事であるから

それほど、安全、安全、と

厳しいことは言われない。


どちらかと言うと、ワゴンの仕事がメインな感じで

お金を扱うから、危険の無いように、間違えないようにと

そんなところに注意が必要だ。


切符の検札はするけれども。




その頃、南阿蘇の友里絵たちは・・・・。

朝、早起きした愛紗は


もう一度、温泉に行って。


露天風呂から見る、阿蘇山を眺めて

清々しい気持になっていた。


小雨だけど。



「こういう所だったら、バスの運転手も出来るかもしれないね」

なんて思ったりするのも

そろそろ、旅が終わりに近づいた、そんなせいもあるかもしれなかった。




露天から、室内のお風呂に戻ると

菜由がきていて「おはよう」


愛紗も「おはよう、早いのね」


菜由は「うん、昨日早く寝たし」


愛紗は、タオルを持って、でも前を隠しながら「友里絵ちゃんが早く寝たから」


菜由「赤ちゃんがいたら、あんな感じかな」


愛紗「そうかもね」


と、ふたり、笑った。



午前6時半。


友里絵たちは、まだ寝ている・・・・・。






愛紗は「ホントに九州に戻る?」と、タオルで体を拭きながら。

背が高いので、スリムに見えるが

案外に女らしい体型である。

ふくよかで、やわらかい。



「うん。まあ・・・石川次第かな」と、菜由は

浴衣を脱いで、下着を取った。

がっしりとした体型で、頼りがいある感じ。

「お母さん」と呼びたいくらい。





「そだね」と、愛紗は浴衣を着て。

羽織を着て。


おきてすぐだから、ノーブラ(*^^*)だから。




「でも、そういうのがいいかもね」と、愛紗。


「自由より?」と、菜由。



「なにもないと、かえってきめられないと言うか・・・。」と、愛紗。


菜由はにっこりして「そうかもね。あたしも、そうだったかもしれない。

ずっと、ガイドしてたかもしれないし・・・・それから脱出したかったのかな。」


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