第236話 56D 新水前寺、定時! 進行!

運転士は、線路左にある「新水前寺」駅表示を確認。

黄色に黒の文字。

やや下り勾配と、表示が線路上にある。


信号、停止!


既に、排気ブレーキ減速中。

速度は、制限45より低い。




金属的な、独特の走行音で

特急「あそ」は到着する。




しゅー・・・・・。


空気バネで、ふわふわと揺れる。



機械式ディスクブレーキが、軋む。





停止位置、よし!




車掌が、ドアスイッチを上げる。



空気が抜ける音がして、シリンダーが縮む。


折り戸が、ばたり、と開く。



「うー・・・・・。」


友里絵は、どどどど・・・(^^;


由香が、友里絵のバッグを持ってやった。




「便所、便所!」



2号車である。乗ったのは1号車。


客室扉が自動で開き、廊下を、それでも走らずに。



2号車へ。



便所ドアを開き、ばたん。



じゃー・・・・・・(^^;;;;。




「ふー・・・・・。間に合った。」




由香は「幼稚園の頃から、ああなんだよね」と、にこにこ。


菜由は「かわいいのね」



愛紗は「ほんと」と、にこにこ。


生き生きしてて、人間らしいなぁと、愛紗は思う。

とても、マネはできないけど(^^;




友里絵は、便所から出てきて「あー、すっきりすっきり」と、にこにこ。


由香は「おまえ、BBAだろ、ほんとは」と、笑う。


友里絵は「出るもんしょうがないじゃん」と、にかっと笑う。


由香「犬かい」


友里絵「猫派」


由香「・・・たしかにそうかも」



・・・と言う事で、2号車は指定席だから

3号車に乗る事に。


割と人が乗っているから、座席を回さずに。

横一列。


「こういうのも、なんか新鮮かも」と、友里絵。

「そだね」と由香。友里絵が窓側、通路が由香。

「うん」と、愛紗。窓側。

「なんとなく、この配置」と、菜由。


「代わろうか?」と、愛紗。

「いいよ」と、菜由。



列車は、既に発車。カーブを抜けて。勾配を登って行く。

電化区間だけれども、巡航速度は電車と変わらない。

肥後大津から先は架線が無いので、ディーゼルなのである。


なぜ電化しないか?

あまり人が乗らない。それもある。

このあたりは、よく災害があるので・・・・そんな理由もある。

復旧が楽なのだ。


水害や地震で、幾度か路盤が流れたりしたが

比較的早く復旧した。


もともと、阿蘇、と言うか九州全土が

阿蘇山の上に乗っている構造なのである。

火山灰土なので、雨にも弱い。



豊肥本線だけでなく、久大本線もよく被災する。

肥薩線もそうである。




ディーゼル・エンジンが床下で、がらがらがら・・・・ごー。と

低い音を立てて。


真っ直ぐな線路を登って行く。並木道。

大学があったり。



友里絵が、静かだな・・・と思って

由香がそーっと、つっついた(^^;


「ふにゃ、むにゃ・・もう食えない」

寝てる(^^)


「まだ食ってるんかい。それじゃ出る方も出るわ」と、由香(^^;


愛紗は「おなか、大丈夫かな」と、心配。



由香は「大丈夫、だいじょぶ。バカは丈夫だから」(^^)。


菜由は「いいなぁ、ヘビーデューティー。」


由香は「ものはいいようだな」と、笑う。


菜由「ホント」と、にこにこ。


友里絵は、すやすや・・・と、寝てる。


「赤ちゃんみたい」と、菜由。

「寝てればかわいいけど」と、由香。

「うふふ」と、愛紗。


赤い特急「あそ」は、ぐんぐん坂を登って行く・・・。そろそろ夕方。



回送「有明」は、場内信号機が青になるのを待っている。

待機線、最後尾の車掌室で、恵、それと真由美。


すこし、のんびりと。



「あーあ、くたびれた」と、恵。凛とした美人だけれども、そんな表情をすると

愛らしい。

「真由美ちゃんは、あの子たちと・・ああ、友里絵ちゃんか。一緒に居たの?ずっと。

あれから」


真由美ちゃんは「はい。一緒に、KKRに泊まって。いっぱいお話して。温泉入って。」


恵は「温泉、いいなー。あたしも行きたいな。・・・そうそう、友里絵ちゃんって20歳?

若いねー。ひとつ下か。あたしの。そんなふうに見えないね。女子高生かと思っちゃった。」と、にこにこ。


真由美ちゃんは「はい。友里絵さんは20歳で。愛紗さんだけ21ですね・・・

。あ、恵さん、来ます?人吉温泉。

これから、兄と一緒に帰りますから、ご一緒に。」



恵は「いいね。お邪魔じゃないかしら。あした乗務でしょ?」

と、夕陽を眺めながら。


真由美ちゃんは「いえ、明日はB番ですから。9時くらいでいいんです。

よろしかったら、どうぞ?」


恵は「ありがとう」と、にこにこ。

「いいなぁ。9時でいいのね。家が近いんでしょ?」


真由美ちゃんは「ハイ、歩いてちょっと」

と、にこにこ。


恵は「いいなー。わたしも引っ越そうかな、そっちへ」と、実感。

熊本は都会だから、そうそう駅の近所には住めない。

地価もあるし、ちょっと治安もあるし・・・。


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