第134話 JapanNationalRailway

「あー、食った食った」と、友里絵。


「食ったって、女が言う言葉かいな」と、由香。


「屁なんて言う

あんたに言われたくないわ」と、友里絵。



「言ってないよー。」と、由香は楽しい。



菜由は「さて、どうやって駅まで行くか・・・。」


宿の送迎バスは9時の次は11時。

それでは、ちょっと・・・遅い。

列車が出るのが11時だから。



愛紗は「通りまで歩けば、路線があったわね」



菜由は「ダイアがわかんないなぁ」



ローカル路線だと、朝夕しかない、なんて事も多い。

それだと、バス停まで行っても・・・無駄だ。



4人は、そんなことを話しながら、ロビーの前を通って。

ふと、窓の外を見ると・・・きょうも錦江湾の波は綺麗だ。


きらきら。



とても広い。大きな客船が、どこかに出航して行く。




「大きな船って見たことないなー。」と、友里絵。



「うん。」と、由香。「あ、そうだ。」と、ロビーに居たフロントマンに

路線バスの時刻を尋ねた。



由香は、戻ってきて「10時にあるって」


愛紗は「ありがとう。」



菜由は「それで行くかな」




と、お話をしていると・・・・昨日の、温泉であったおじさんたちが

浴衣ではなく、出かける格好をして


「やあ、夕べの面白い子たちだね。・・・どっか行くの?」おじさんのひとり。

大柄で、日焼けした顔。

いかにも、鉄道員、と言うかんじ。




由香は「はい。駅の方へ行こうかと」



おじさんたちは「車?」




由香は「いえ、路線バスで行こうかと。10時の」




さっきのおじさんは「10時まで結構あるから、私達も駅の方、通るから。

乗っていけば?マイクロバスで来てるから」



「どする?」と。由香。



菜由は「じゃ・・・お願いします。支度してきますから」




おじさんは「いーんだよ。ゆっくりで。私らも、予定がある訳じゃないんだ。

ただ、宿に居ても勿体ないから出かけるだけだから。

ほんじゃ・・・そだな。表にマイクロバス置いとくから、支度出来たら乗って。」



女の子の支度を

急がせてもいけない、時間を区切っても同じ。


そういう配慮を一瞬にするあたりは、人事に手馴れた人のようだ。




「はい、ありがとうございます」と、愛紗は礼を述べて。


由香も「お願いしまーす」



そういうと、そのおじさんたちの一人は「ああ、コント赤信号さん」



もうひとりは「脱線トリオだろ」



別のひとりは「それは禁句だ」



わははは、と、楽しそうに笑っていた。







「思わぬところで」と、友里絵。



「なんでもやっとくもんだ」と、由香。




「コントかい」と、菜由。



まあ、いいけどさ。と、笑って。


4人は、手早く支度。



こういう辺りは、さすがに乗務員である。



着るものを迷ったり、メークに手間取ったり。

そういう、小さなことにはこだわらない。












「おまたせ・・・しました」と、由香がマイクロバスに乗ろうとすると

ドアのところには「国鉄」の文字とJNRマーク。



「なんか、これ見ると颯爽とするなぁ」と、友里絵。



おじさんたちは、どこからか、どやどや、と・・・集まってきた。



気をつかわせないように、お庭の外とか、その辺りで

海を見ていたり、ゴルフのスイングをしていたり。様々。


心遣いのあるひとたちだ。





「じゃ、いきましょう」と、さっきの駅長さんふう。


ゴルフズボンにポロシャツ、と

気楽なスタイル。





南国の遅い朝。10時だけど

関東の感じだと、9時くらい。


朝・・・・みたいだ。




フェニックスの木が、てっぺんだけに葉っぱがあって

風にそよそよと、揺れていて。


南国らしいムードを醸している。


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