第103話 鹿児島の駅前

改札で、周遊券を取り出して

自動改札に通す、と・・・


戻ってくる。

それはそうで、まだ一週間使える切符である。



「取り忘れるなよ」と、由香。


「あいよ。」と、友里絵。


「わたしたちも気をつけないと」と、菜由。


普段、周遊券などを使わない人だから。





「新幹線の切符は?」と、友里絵。



「はい、それはいいの。記念に取って置こうと思って。」と、愛紗。


新幹線改札で特急券を、駅員さんに見せて。


「記念にしたいんです。」と、言うと


無効、と書かれたスタンプを押してくれるのだけれども

このスタンプが、駅で様々。



この駅は「さくら」の花のスタンプだった。



「さくら」号、と言う愛称の列車があるから、なのかもしれない。





その切符を友里絵に渡そうとしたけれど「落っことすから、持ってて」と。


愛紗もにこにこ「わかった」




駅前は、イベントをしていたからか

人並みがいっぱい。


露天のお店が一杯あって、小物から食べ物、お菓子などが

沢山。



でも、全部見てたら夜になってしまう(笑)。


それに、人をかきわけて行くのも・・・ちょっと。




「すごい人だね」と、由香。



「またに、するか。」と、友里絵。



「股にする?なにを」と、由香。



「昼間っから、するかい!」と、友里絵。




「夜な、夜。」と、由香。






ちょっと、駅前のおもちゃジュエリーとかを見たりして。

友里絵は「なーんか、銀っていいんだよね」と。


由香は「前からそうだよね。友里絵は。あの、ハートのピアス落としてさ。」



「そうそう、キッチンの溝に落ちてたのを、タマちゃんが見つけてくれて。」と、友里絵。





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コンビニでバイトしてた早朝。


友里絵はピアスを持ってきていて。制服の胸ポケットに入れていて

落としたのだった。


ルールでピアスがいけない、と言うと

キチンと守る子である。



「落っことした!大変!」と、バイトの相番のタマちゃんに言ったので

キッチンの溝、クレーチングの蓋の間に挟まってるのを見つけて

ゼム・クリップを伸ばして、引っ掛けて取り出してくれたのだった。



でも、誰かに踏まれたらしく、ハートが歪んでしまっていて。




その頃流行していた「オープン・ハート」と言うデザインのピアスに似せたものだ。




友里絵は「なおしてなおしてー」と、タマちゃんに頼んだけれども



彼にも難しい。「折れちゃうかもしれないから、アーケードの地下に居る

若い、職人さんに直してもらったほうがいいかも」と。



友里絵は、直るかどうか?は・・・どうでも良くて。

彼と関わりたかったのだけれども。




そういうところは、ちょっと不器用な彼である。




------------






「あの頃に帰りたいなぁ」と、由香。



「もう、あのお店もないしね。」と、友里絵。





そんな思い出もあって、タマちゃんの後を追って

大岡山に入ったのかもしれない、二人。







愛紗も、菜由も


大岡山には、なんとなく、温かい思い出があって。



その辺りは、似ている。






ふたりは、ジュエリーよりも

お菓子や食べ物、食材、なんかが気になって(笑)


アーケードの商店街を見たいと思うけど

旅先で食材を買っても、まだ、持って帰るわけにもいかない。



乾物なら別だけれども。






「行こうか」と、友里絵。


あんまり混んでるから。




まだ、15時30分。



「35分の特急!」と、友里絵。



「無理だよ、あきらめよ」と、由香。




次の普通列車で行こう、と。愛紗と菜由に言おうとしたけれど・・・・。」



「あれ、どこにいるのかなぁ」と、友里絵。



「その辺にいるんじゃない?」と、由香。



雑踏なので、どこにいるかまったく分からない。

知らない町だし。





とりあえず、駅に戻れば、と・・。


駅前に向かった。







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