第35話 1列車、進行!

8号車から乗ったから。

日野車掌は、乗務員室からおもむろに。


「ご乗車ありがとうございます。」と、帽子を取って

ご挨拶。


由香、友里恵、どぎまぎ。


「あ、あの・・・。」


サービスする方で、サービスされるのは

なんか、どきどきするのね。




「ご案内いたしましょう。何号車でお休みですか?」


由香は「え・・あの・・・。」


そこに、10号車、B寝台個室「ソロ」から

愛紗が、とことこ。



「あ、愛紗ー。」と、由香。



日野車掌は「あ、お友達だったんですか。」と

愛紗を見て微笑む。


愛紗は「はい。同僚です。」


日野車掌は、にっこり。「では、同じ10号車ですか?」



愛紗は説明「指定席だから。」と。


バスガイドだからそれで分かる。



友里恵は「自由席でいいけど」


由香は「ないよ」


友里恵「なんで?」


愛紗は「寝台だもの、全車。」



昔はあったけど・・・自由席夜行。



日野車掌は「では、10号車にお取りしましょうか。」


携帯情報端末で調べる。

以前は無線で聞いていたのだが、便利になった。



「あ、ありますね。2部屋。お取りしましょうか。」


「はい。」と、友里恵、にこにこ。


乗車券は、乗り継ぎだからあるだろうと、車掌は思い


「乗車券を拝見できますか?」


と・・。


友里恵「あ、これです」と、携帯を。


車掌「あ、では下車駅でご清算ください。寝台料金と特急料金で

9450円になります」



友里恵「お金掛かるの?」


由香「当たり前じゃん。アホぉ」と。笑。


友里恵「カードで出来ます?」



車掌「はい」


これも、以前はダメだったが。

便利になった。



由香も同様に。


車掌は「あ、では、10号車はお友達とご一緒に・・。2階と1階を取ってありますから

お好きな方を。お部屋の鍵は後ほどお渡しいたします。

お食事がまだでしたら、6号車が食堂車です。22時まで営業です。

ご歓談はロビー・カーもどうぞ。軽食も販売しています。」


さすがにベテラン車掌である。

そつのない案内。




「意外と安いね」と、友里恵。


由香は「乗車券がまだだもん。」



友里恵は「あれ、ルームチャージなの?」



由香は「まあ、そんなとこ。バスでもあるでしょ、指定券。あれ」



なーんだ。どうりで。

と、みんな、笑った。



「ちなみに、愛紗、幾らだった?」と、由香。


「わたしはワイド周遊券だから。15000円。九州はフリー切符だから

特急に乗れるわ」



由香は「へぇ。私も欲しいな・・って、無理か、今からじゃ」



愛紗は「フリー切符だけなら、向こうでも買えるわ。」


友里恵は「そうなんだー。じゃあ、あたしが向こうで精算すると、幾らくらい?」



愛紗は「わからないけど、同じくらいだと思う」



友里恵は「先に言ってよ」


由香は「アホ、飛行機で来るって言ってたろ。あ、飛行機の切符、払い戻さないと。

大損だ」



由香は、携帯をちょこちょこ。


こういう時は便利だ。


友里恵も、これは大丈夫だった。


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