第571話 愛の量子力学

旅。


例えばそれは、閉じ込められた素粒子が

自由だった光の粒子だった頃を回想するようなものである。



宇宙の起源、真空中の光子は

質量がゼロだったが



ヒッグス粒子に捕捉され、自由を失う。


そうして電子は、原子核、 ーそれも素粒子が

電磁気で捕捉された存在ー の周囲を周回する。




そうして元素が興る。





生物の身体も、元素で出来ている。




だから、どこかで解放を求め、旅する。



人生も旅である。


いつかは燃え付き、元素に戻る。

一部は炎から、光に戻り

電子に戻る。




マックスウェルの電磁気学の通りである。





だが。

神や魔法使いは、自由だ。




生物ではないから、である。




ただ、魔法使いルーフィ

や、そのご主人のように



人間との関わりあいの中で


自らの自由を抑制しようとする力に

苦悩する者もいたりする。




それは、人間に類似な愛のスタイルを

取ろうとしたための矛盾であったりもする。




天使クリスタのように、人間世界に

降りてしまったり。



それは、あたかも

自由な光粒子が、ヒッグス

粒子に捕捉されるようなものであるかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る