第420話 One For All All For One

地震のせいで、列車は大幅に遅れてしまった。

なので、めぐたち食堂車クルーの仕事も

予定が変わってしまった。


朝5時に起きて、仕事をすると言っても


着くはずの駅で、積むはずの

お弁当とか



飲み物とか、お菓子。



そんなものが、積み込めないのに


乗客たちは、目覚めれば

珈琲を飲みたい、ご飯を食べたい。




人間の生理である。


珈琲は趣向にしても。







昨夜、乗り継ぎを心配していた

婦人は、やはり


乗り継ぐはずの駅に列車が着かず、

その癖、乗り換える列車は

地震が納まったので


出発してしまった。




でも、リサの

おじさん、車掌が無線で

計らったので




遅れて、無効になるはずの指定席券は

振替輸送の後発列車に変えられた。




特別扱いを認めると、皆がそれを要求するから

認めない、などと言うケチな事は言わない

国鉄である。




皆の為の国鉄、お金儲けの為の鉄道ではない。


だから、職員たちは使命感を覚える。

それが、仕事への愛に変わるのだ。



ひとりのためのみんな、みんなのためのひとり。

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